おしゃれな着物を染めていると、週一くらいはそれを着たいと思う、カラーズ京都の長瀬澄人です。
みなさん着物を着るペースって、どのくらいなのでしょうか。
例えば、月に一度くらいのペースだったり、年に一度や二度だとか、数年に一度の人もいるでしょうし、週に一度でも物足りないと思う人もいます。
一般的に、着物が日常着ではなくなった現代では、一年のうち複数回着物を着る人は、もはやヘビーユーザーと言っても良いのかもしれません。
少なくとも、アクティブユーザーであることは間違いないと思います。
そのアクティブユーザーとして着物を定期的に着る人の中でも、実際に着るペースは本当にマチマチです。
外で働く人と、在宅時間の多い人では差があるでしょうし、子育てなども大きく影響してくるでしょう。
そしてまた、それぞれのライフスタイルに沿った理想のペースがあるので、回数を多く着るから良いというものでもなく、いかに充実した気持ちで着られるかの方が重要です。
自分がどのくらいのペースで着物を着るのが、負担やストレスを感じることなく楽しめるか。
それを見つけることも、着物をさらに好きになる一つのステップのように思います。
私の場合は、週に一度くらいは着たいという感覚なので、土曜日の営業は着物を着るというのを基本にしています。
それくらいだと、恋愛に例えると、好きで追いかけているような感じで、適度に刺激があって飽きがなく、着たい気持ちが満たされるような物足りないような、ちょうど良い距離感に感じます。
愛着を持って手間ひまかけることを、負担に感じることもありませんし、大切にしようと思いながら付き合いやすいペースかなと思います。
週一着物の人間同士のあるあるで、仕事に勤しむウィークデーのストレスを、週末に着る着物の着心地が、拭い去ってくれる。ということがあります。
そういった効用はもちろん、私が一番感じるのは、ゆったりとした、角のとれた優しい気持ちで過ごせるということです。
自分に対しても、他人に対しても、とても寛容で、温和な気持ちになることができるように思います。
今の時代、着物を着ることに、枕ことばのように「わざわざ」という前置きが付くものとなっていますが、やはり私は、わざわざ着物を着ることに、その煩わしさ以上の素晴らしさがあることを実感しています。
そして、その感覚を多くの人と共有することを楽しみたいと思います。
きっとそこには年齢や性別、地域に職業など、また着物を着る頻度も含め、いろいろな個人差を超越した、共通意識としての美しさがあるのではないでしょうか。
私は着物を染める職人として、またそのデザインをする立場から着物を見ていますが、着物の素晴らしさを一番感じるのは、やはり袖を通し、帯を締めた時です。
こんな文を書いていると、着たい気持ちが膨らんできますが、これからもゆったりマイペースで着たいなと思います。
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