おしゃれな着物だけしか染める手を持たない、カラーズ京都の長瀬澄人です。
今回は、カラーズ京都の型染の工程を、ダイジェストで紹介させていただきます。
ただ、掲載写真は2011年当時のものですので、今よりも約5年前のものです。
当然私も5年若い、31歳の頃ですから、今よりも多少肌つやが良いところも、一応見どころの一つです。
型糸目という作業です。
防染糊という米原料の糊を、駒ベラという専用のヘラで均一に生地に下ろします。
この作業が、職人修行で一番反復することの多い作業です。
駒捌きが秀逸な職人の動きは、とてもリズミカルで、それだけでも美しさがあります。
型糸目が済んだところ。
これが柄の縁取りとして、完成すると白い境界線になります。
写真では、柄が見えやすいように、グレーに着色してありますが、仕上がりは白です。
駒ベラの捌きが悪いと、糸目の線が太く潰れたり、綺麗な仕上がりになりません。
続いて着色作業です。
柄部分を彫り抜いた型紙を合わせ、専用の刷毛で色を摺り込んでいきます。
色の数が多い配色になるにつれ、当然型紙の枚数も多くなり、重厚な仕上がりになります。
これも職人修行で反復が必要。
駒捌きよりも、腰の負担が大きく、私も修行時代に慢性的な腰痛と常に闘っていたことを思い出します。
この「摺り」という作業が、糸目の中全てに色が入るまで、延々と続きます。
摺りばかりした日は、しっかりと風呂につかり、よく腰を延ばさないと、翌日の動きに支障が出ます。
農作業の、鎌で稲刈りをする辛さに似ているかもしれません。
まだ続く「摺り」。
実は、摺り作業は腰だけでなく、手首、肘、肩、首、目、これら全てを駆使し、集中を切らせずに作業を続ける必要があるため、見た目以上に難易度が高く、重労働。
ようやく「摺り」が済みます。
糸目の中に色が全て詰まっているのがわかります。
ですが、まだ終わりません。
続いて「伏せ」。
地色がまだ白いですから、そこを染めるための準備として、ようやく摺りあがった糸目の中全部を、さらに糊で覆い尽くしてしまいます。
地染作業に耐えるくらいに、ガッチリと糊を付着させないといけませんので、糊の粘りは相当強く、これまた駒ベラで均一にムラなく描いていきます。
「伏せ」を丁寧に行わないと、今までの作業全部、腰痛になった苦労すらも、全てが水の泡となります。
粘りの強い糊を、ヘラで延ばし続ける「伏せ」は、指の付け根への負担が大きく、握力ゼロ状態の、指ガクガク状態を、こらえてこらえて、ようやく終了します。
写真では糊がこんもりと厚みある付き方をしています。
これだと、糸目の中に余分な色が入る余地がなくなる訳です。
要は高度なマスキングをしているということですね。
そして、この後は引き染めという作業ですが、その写真がないため、一気に完成まで飛びます。
厳密には、引き染め→蒸→水洗→乾燥→湯のし→完成です。
引き染め以降の作業は、どこかよそのサイトで調べてください。
ようやく完成です。
文句無しに綺麗で美しく、おしゃれな帯が染まりました。
これらの作業は、長い修行期間だけでなく、それ以降も繰り返し何度も何度も経験を重ねて、ようやくそれができる「手」になるというものです。
職人は皆、多くを語らず、「ハイヨー」
という了承の言葉だけを残し、これらのことをしています。
私は、完成品と負けず劣らず、それを作る職人の背中は尊く、美しいものだと思っています。
カラーズ京都では、型染を中心としたハンドメイドで、全ての商品を制作しています。
詳しくは下記onlineshopをご覧ください。
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